スポーツ

コロナの影響 「無観客競馬場」で感じた強烈な違和感

2020年3月1日の中山競馬場正門

 誰もが夢見るものの、なかなか現実にならない夢の馬券生活。調教助手を主人公にした作品もある気鋭の作家、「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆する須藤靖貴氏が、取材申請して入った「無観客の競馬場」で感じたことをつづる。

 * * *
 風通しの良すぎる競馬場で、こう考えた。

 智を働かそうとパドックに立つ。情に棹ささず流されぬよう。…などと漱石先生の名作冒頭にあやかってはみたものの、なんとも強烈な違和感の中にいる。

 無観客レースである。日曜日の中山競馬場。取材申請して特別に入れてもらった。広い競馬場の空を独り占めするような心持ちである。

 いつものように1Rからパドックを見たのだが、緊張感やワクワク感はまるでない。馬券を買えないからだ。

 私はアナログ人間で、スマホさえ持っていない(ちゃんと理由がある。あれは文庫本の敵だ!)。だからネット投票などできず、競馬場やウインズが閉鎖されるとお手上げだった。意地を通せば窮屈なのである。

 無観客レースとなった初日、2月29日の売り上げは前年比で80%を超えた。非常事態下としては驚異的だろう。野球や大相撲の無観客試合の経済的損失は知らないが、競馬の場合は紙の馬券がなくとも8割方機能する。競馬はウイルスに屈しないのである。

 新型ウイルス、終息のメドは立たず。このままではしばらく馬券を買えそうもない。これを機に手を打つべきかとも考えた。令和の世はペーパーレスだ。関係者によると、無観客時の経費削減(人件費など)も無視できないという。

 ちなみに、無観客レース初日、即PATの新規加入者は1万5000人近くにも及んだという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン