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コウケンテツ「日本の家庭料理は世界一、ハイスペックすぎる」

「作りたくないときは作らなくていい、それは怠けているわけじゃない」と話すコウケンテツさん(撮影/平野哲郎)

「最近、思いつめた顔で『1日3食献立を考えるのが大変なんです』と訴える女性がとても増えています」

 こう話すのは、料理研究家のコウケンテツさん(45才)。同じく料理研究家の李映林さんを母に持つコウさんは、2009年に結婚し、一男二女の父でもある。2007年からは、『アジア食紀行』、『コウケンテツの世界幸せゴハン紀行』(NHK BS-1)に出演。世界各国を旅し、その地域の家庭料理を教わっている。

「そもそも、日本で料理に対してこのような悩みが生まれるのは、“家庭料理は手間をかけることが美徳”とされすぎているからではないでしょうか」(コウさん・以下同)

 一般的に、日本人には“1日30品目とるのが理想的”、“一汁三菜は家庭食の原点”などといった共通認識がある。家庭や学校でそのように教わった人も多いのではないだろうか。

「番組でさまざまな国を訪れて気づいたのは、海外の家庭料理は実に質素だということ。品数も少ないし、毎日同じおかずが出るのは当たり前。ぼくが見た限りでは、日本ほど品数が豊富でバリエーションに富んでいる家庭料理なんてほかの国にはありません。日本の家庭料理は世界でナンバーワン。ハイスペックすぎるんです」

 たとえば、フランス人はスーパーで買ったパック詰めタルタルステーキを皿にのせ、パンとともに食べるだけの晩ご飯が当たり前だそうだ。

「フランスではほとんどの女性が働いていることもあり、夜ご飯は、スーパーやデリで買った料理を並べるだけ。“平日は料理をしない”と宣言している人が多く、驚きました」

 デンマークでは、焼いたサーモンと付け合わせのじゃがいもだけが大皿に盛られ、ほかに食卓に並ぶのは取り皿のみ。毎日同じものを食べ続けるケースが多いそうだ。

「日本ではおかずを何種類も作って、飽きないよう日替わりで食べますが、海外では、煮込み料理をまとめて作って、しばらくそれだけを食べ続けても、誰も文句を言ったりしません」

 また、アジア圏では料理を作らないことがスタンダードになっている国もあるそうだ。

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