自宅にパソコンはあってもプリンタは持たない、という人が多くなっているが、それでも印刷せねばならないときに便利なのが、コンビニにあるコピー機だ。ネットワーク機能と接続されたマルチコピー機なので、データを登録してコンビニへ行き、コピー機から出力できる。この機能を利用して地図やブロマイド、小冊子の販売も行われている。この便利なコンビニコピー機で警察の身分証のようなものを偽造した男が逮捕された。彼はなぜ何のためにそれをコンビニコピー機で作成したのか、ライターの森鷹久氏がレポートする。
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3月3日、滋賀県警は警察の身分証“のようなもの”を偽造したとして、岐阜県の男(20才)を「公記号偽造」の容疑で逮捕した。聞き慣れぬ罪状について、在阪民放局記者が解説する。
「偽の身分証には“日章(旭日章)マーク”のようなものが印刷されていました。これは国家公安員会によって“警察章”と定められたもので、警察手帳や警察帽などあらゆるところに表示されています。誰が見ても“警察のマーク”と認識されていて、こうした公の記号を偽造したり、不正に使用すると罰せられるのです」(民放局記者)
逮捕されたこの男、警察のコスプレマニアなどではなく、特殊詐欺の「受け子」だった可能性が高い。警察の身分証のようなものを用いて、被害者宅などを訪問。相手に自身を警察官だと信じ込ませるために所持していたと見られるのだ。
「身分証には“滋賀県警巡査”という文言、それに偽名の記載がありました。詐欺のために男が作ったのかどうか、入手ルートも含めて捜査中です」(民放局記者)
実は、特殊詐欺事件でこうした「偽の身分証」を用いるケースが激増している。今年一月、埼玉県警は偽の警察職員証を印刷したとして、こちらは“有印公文書偽造”の疑いで男を逮捕した。警視庁には存在しない「刑事課特殊詐欺防犯係」所属を示す身分証を、男はコンビニのプリント機を使って出力し所持。ちょうどその頃、近辺では警察を名乗り「貯金額を教えて欲しい」などの怪しい詐欺電話の入電が確認されており、男は警察のふりをした「受け子」の可能性が高いという。
偽の身分証は、筆者が取材を通じて確認したもののいずれも、極めて完成度が低いお粗末なものばかりだ。先述したようにありもしない部署名が書かれていたり、ペラペラの紙に不鮮明な顔写真がプリントされていたりという塩梅だ。もはや相手に少しでも知識があれば「私は偽物なんです」と表明しているかのようなものに他ならないのだが、受け子たちが少しでも詐欺の成功率をあげようと「自作」しているのか。
「最近のトレンドは、警察や裁判所、金融庁などの“当局”を名乗った詐欺です。ですから、どうしても身分証が必要になります」
こう話すのは、かつて特殊詐欺に関わっていた元暴力団関係者・M氏(30代)。司法当局を名乗り「あなたの口座から金が不正に引き出されている」等の電話をかけた上で、実際に司法当局の身分証らしきものを持った人物が金品を奪いに赴く。