テレビ音楽番組の収録を終えて、帰宅の途につく水樹奈々(40才)は、上から下まで白と黒のモノトーンをメインに、イエローも取り混ぜたチェックのワンピーススカートでまとめている。多くのスタッフに囲まれて歩く水樹の姿は、ちょっとした大御所の風格すら漂っていた。それもそのはず。毎年ライブツアーを成功させてきて、歌手デビュー20周年となる今年も全国を回り、8月のナゴヤドームまで駆け抜ける。日本で最も集客力のある女性ソロアーティストの1人なのだ。
そんな水樹を表現する単語は「声優アーティスト」。アニメ雑誌編集者が解説する。
「声優アーティストとは、アニメの声優と歌手活動を両立させているタレントのことで、今では数えきれないほど大勢いますが、水樹さんはその代表者といえます。水樹さんは、堀越高校で堂本剛さんや佐藤仁美さんと同級生でしたが、同時にアニメ専門学校の声優タレント科にも通っていました。1997年のデビューも声優としてでした」
幼少時からの夢だった歌手デビューを果たしたのは、その3年後だった。アニメ界で着実に人気を獲得していき、西武ドームで初のドームコンサートを実現した2009年には、NHK紅白歌合戦にも初出場。声優がシンガーとして紅白に出場したのは初めてのことで、お茶の間に「声優アーティスト」という存在を知らしめることとなった。
「水樹さんは、ソロ歌手として大成功した後も、人気アニメ『ハートキャッチプリキュア!』のヒロイン役など、声優業でも第一線で活躍し続けています。それこそが、目の肥えたアニメファンに長く支持される理由の1つです」(前出・アニメ雑誌編集者)
レコード会社関係者も水樹をこう評する。