56年前、1964年東京五輪の聖火リレーをかつて走った人のうちの一人に、高校3年生だった落語家の三遊亭小遊三がいる。聖火リレーの思い出を聞いた。
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【走った区間:10月7日 山梨県大月市 猿橋区間】
高校3年の時に卓球部で主将をやっていたんだけど、突然、先生に「走れ」と命令されたものだから、面倒くせぇなと思ったよ(笑い)。でも当日は緊張もせず、もっと走っていたいくらい気持ちよかった。
写真は、前のランナーに聖火をもらう時、たくさん煙が出たのに驚いている表情だね。
家から離れたコースだったから、家族も誰も見に来なかった。兄貴と姉貴は働いていたし、おふくろは体の具合が悪いし、親父は家にこもっていた(笑い)。気の毒に思ったのか、姉貴が1000円と100円のオリンピック記念硬貨を買ってくれた。だけど噺家になりたくて家出資金を作るのに売っちゃった。オリンピックのおかげで噺家になれたと言えるかもね。
●さんゆうてい・こゆうざ/1947年生まれ、山梨県出身。1968年、三代目三遊亭遊三に入門、1983年に真打ち昇進。同年より『笑点』に出演中。
※週刊ポスト2020年4月3日号