東京五輪の開催が「1年程度」延期されることが決まった。すでに今年の夏に向けて調整を進めてきた代表内定選手には酷な状況ともいえるが、一方で、ケガや不調に苦しむ金メダル候補が万全の状態で五輪に臨める可能性が出てくる。
バドミントン世界ランク1位の桃田賢斗(25)は、1月に遭った交通事故後、右目眼窩底骨折が判明し、手術を受けた。
「2月末から練習に復帰し、来月の日本代表合宿にも参加予定だが、実戦が足りない。実力は抜きん出ているので、五輪が先に延びれば、金メダルの可能性は高まる」(スポーツジャーナリスト)
“準備期間”ができることで盤石な戦いが期待されるのが、「競歩」だ。
昨夏、カタール・ドーハで開催された世界陸上では、50km競歩で鈴木雄介(32)が、20km競歩で山西利和(24)が表彰台の頂点に立ち、五輪でも金メダルが期待される。
ただ、競歩はマラソンとともに昨年11月、開催地が札幌に急遽、変更された。競歩の代表チームは、“東京の酷暑”を想定して綿密な対策を練り、ドーハでの成果につながったことが知られている。“前提条件”が変わったことにより、対策の練り直しを迫られていた。ドーハで現地取材したスポーツジャーナリストの酒井政人氏はいう。
「延期になった場合、競歩の代表チームが、“札幌の夏”のデータを揃えて準備できるのが心強い。彼らは気象予報会社と契約し、コースの風向きやビルの日陰に至るまで徹底研究して、コース取りの参考にもしている」
メダルの期待がより高くなるということだ。他にも、「体操男子ではケガからの不調にあえぐ内村航平(31)と白井健三(23)の復調が期待できる」(前出・スポーツ紙デスク)といったような、“延期効果”が考えられる。
※週刊ポスト2020年4月3日号