その交渉が、人知れず大詰めを迎えていたのは昨年末。彼女から「事務所を辞めます」と告げられたとき、育ての親でもある事務所社長の表情は固まったという。
「彼女とは家族同然。話し合えば必ず引き留められる」
そんな事務所の思いを受け止めながら彼女の意志が変わることはなかった。デビュー以来、30年近くにわたりオスカープロモーション(以下オスカー)に所属し、看板女優として走ってきた米倉涼子(44才)が、3月31日をもって事務所を退社、独立する。なぜ彼女はいま、決断をしたのか──。
「彼女の独立はここ1~2年の間で噂されたことはありました。それは事務所内に溝があったから。現社長の娘婿が権力をかざしはじめ、長年現場を支えてきた幹部との間で対立が絶えなかったんです。実際、スタッフは40人以上が退社し、タレントの流出も増えています」(事務所関係者)
昨年末に忽那汐里(27才)が、今年の2月には草刈民代(54才)、そして、3月で岡田結実(19才)とヨンア(34才)が相次いで退社する。
「米倉さんは仁義に厚い。社長が言うなら…と何があろうと世話になった人を立てるタイプ。米倉さんにも思うところはあるでしょうが、直接的な原因はそうした内部事情ではないようです。昨秋、米倉さんは『低髄液圧症候群』を患っていたことを明かしましたが、すでに完治しており、やはり今回の退社とは関係ありません。独立を決めたのはもっと別の要因があるのでしょうね」(前出・事務所関係者)
実際、米倉は4月1日以降も休むことなく動き続けるという。
◆「大門未知子」のイメージが強すぎる
「美文化の創造」を掲げるオスカーは、後藤久美子(46才)らが所属する、日本を代表する芸能事務所だ。主催する『全日本国民的美少女コンテスト』で、1987年初代グランプリの藤谷美紀(46才)に始まり、1988年グランプリの細川直美(45才)や1997年審査員特別賞の上戸彩(34才)ら、名だたる美女を輩出し続けてきた。
米倉は1992年、高校生のときにコンテストに出場し、審査員特別賞を受賞(グランプリは佐藤藍子)。その後、モデルを経て1999年に女優に転身。2012年の『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)が大ヒットし、シリーズ化。いまや視聴率女王としての地位を盤石にしたことは、誰もが知るところだろう。
本人も予想していなかった心境の変化が訪れたのが昨年夏だという。ミュージカル『シカゴ』で3度目の主役を演じた後だ。