新型コロナに感染したシニアたちの“活動的”な行動に厳しい視線が集まっている。たとえば埼玉県行田市では、後に陽性が判明した60代の女性が、発熱後にライブハウスへ行ったと思えば、その後3回スポーツクラブでダンスをし、三味線教室に通い、90代の母親を連れて病院へ2回行っていた。これに対してはネット上で「アクティブ高齢者自重しろ」などの非難が書き込まれた。
こうした風潮もあるが、憲法学者の小林節氏(71)も、新型コロナによる影響を受けていた。
「私が名誉教授を務める慶應大学の卒業式は中止。松下政経塾の卒業式も縮小開催となって出席できませんでした」
弁護士としての仕事もあるため、「今日も被告との接見だった」と語る。
「シニア世代は(感染すると)危ないから家にこもっていろという声もありますが、やることがあるのでそうもいかない。毎日、事務所に出勤しています。夜は色んな人と食事をしたりしていますよ」
繁華街は静かになり、人が密集する交通機関の利用も避けられている。しかし、小林氏は自身がアクティブに出歩ける背景をこう語る。
「我々の世代は別にラッシュアワーに移動しなくてもいい。周囲がこちらの都合に合わせてくれるから、今は電車に乗ればガラガラで座れます。道路も混んでいないし、非常に快適です。レストランもすぐに予約ができ、ギャーギャー騒ぐ若者もいなくなって店もヒマだからもてなしてもらえる。
ガツガツ何にでもとびついて貪欲になっているのではなく、深く何でも楽しめる環境になっているのです。自分の生き方をペースダウンして、色んなものをじっくりと楽しむいい機会になっていると考えています」