新型コロナウイルス問題をめぐり、これまで安倍晋三首相の“応援団”の代表格と見なされてきた保守派論客が「政権批判」に回ったことが世間を驚かせた。作家・百田尚樹氏は2月21日、ツイッターでこう呟いた。
〈安倍総理はこれまでいいこともたくさんやってきた。/しかし、新型肺炎の対応で、それらの功績はすべて吹き飛んだ〉
なぜ百田氏は、厳しい批判を繰り広げたのか。雑誌『ニューズウィーク日本版』で特集「百田尚樹現象」(2019年6月4日号)を執筆したノンフィクションライターの石戸諭氏が、その真意を質した。
──今回の感染拡大については、リベラル派からも「安倍政権の人災」という声が上がりました。
百田:そういうアホとは一緒にされたくないですね。野党の連中の目的は政府批判だけ。国のことなんか考えていない。その証拠に1月の時点で、国会では「桜を見る会」ばかりを取り上げていました。立憲民主党の福山哲郎(幹事長)は春節前に観光客を止めたら観光業界が大ダメージを食らうと言っていたくらいです(*注)。
【*注/1月26日のNHK番組で、「日本の観光産業に相当大きな打撃が出る」などと発言】
3月になって「政府の対応が遅い」と批判しても後出しジャンケンです。
要するに、メディアも国民も野党も政府も誰も危機感がなかった。最初から大騒ぎしていた私に対して、ツイッター上では「素人が黙れ」「危機を煽るな」っていうような雰囲気やったからね。それで今になって安倍政権批判をしても、筋が通っていないと思いますね。私がずっと言っているのは、未知の感染症は怖いということなんです。