国内

もしもスーパーの棚をさらい尽くしたくなる衝動に駆られたら

3月26日、開店前のスーパーに並ぶ人々(東京都大田区。時事通信フォト)

 新型コロナウイルスとの戦いに終わりは見えない。スーパーでの一部商品の品薄状態ももはや定着してしまった感さえある。これでいいのか。空っぽの棚を見て、おそらく誰もが一度は感じたことではないか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が指摘する。

 * * *
 3月25日(水)の夜、都内で新たに40人の感染者が確認されたことで、小池百合子都知事による緊急会見が行われた。そこでは「ロックアウト」「オーバーシュート」「感染爆発」「重大局面」などの強い単語を織り交ぜながら、「週末は不要不急の外出自粛を」と外出自粛要請がなされた。人は不安になると買い物に走る。昨年の台風禍もそうだったし、東日本大震災のときもそうだった。

 イオンやイトーヨーカ堂などが加盟する日本チェーンストア協会が発表した2月のチェーンストア販売概況(会員企業55社、1万0548店舗)によると、総販売額は9376億円と昨年同月比でプラス4.1%。とりわけ食料品は5.8%増の6506億円と伸びている。対して日本フードサービス協会が発表した2月の外食売上高は、ファストフードのテイクアウトや、持ち帰りの米飯や回転寿司が伸びたこともあって全体としては4.8%増だったが、パブ・ビアホールは対前年比で90.4%、居酒屋も95.2%。在宅勤務やリモートワークが始まったばかりの2月でこうだから、3月の数字にはさらに開きが出るはずだ。

 大企業がリモートワークや在宅勤務に移行したことで、外食の回数が減り、職場近くの飲食店で食べていた食事が、家の食卓に振り替えられつつあった。移動の回数が減り、距離が短くなった結果、居住地近くのスーパーでまとめ買いをする機会も増えていた。テレビの画面などではスーパーのがらんどうの棚ばかりが強調されるが、震災や台風など度重なる災害を経験したせいか、今回は一定の落ち着きも感じられた。

 都知事の会見があった25日の深夜に都心の24時間スーパーを覗くと、いつもより多少人は多かったものの、真っ先になくなるはずの乾麺のパスタやインスタントラーメンはまだ残っていたし、コメも潤沢にあった。

 翌26日の日中、あるスーパーが入場制限をしているのを見てギョッとしたが、行列は整然としていたし、その入場制限も「お客様同士の距離を保って、お買い物ができるよう」との意図で店内はほどほどのにぎわい。コメやパスタは昼頃に売り切れたが、そばやうどんの乾麺や、冷凍食品はまだ残っていた。買い物帰りの客が提げているレジ袋もひとつかふたつ。持てるだけ買うという人の姿もほとんど見なかった。

関連記事

トピックス

精力的な音楽活動を続けているASKA(時事通信フォト)
ASKAが10年ぶりにNHK「世界的音楽番組」に出演決定 局内では“慎重論”も、制作は「紅白目玉」としてオファー
NEWSポストセブン
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《ショーンKの現在を直撃》フード付きパーカー姿で向かった雑居ビルには「日焼けサロン」「占い」…本人は「私は愛する人間たちと幸せに生きているだけなんです」
NEWSポストセブン
気になる「継投策」(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督に浮上した“継投ベタ”問題 「守護神出身ゆえの焦り」「“炎の10連投”の成功体験」の弊害を指摘するOBも
週刊ポスト
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン