雪道での自動車の運転は、常に緊張感と恐怖感に襲われるもの──そんな考え方が今後変わりそうだ。日産自動車は最新技術により、雪や氷の上でも通常の路面とほぼ変わらないような運転性能を実現。ガソリン車はもちろん、EV(電気自動車)でも“楽チン”に雪道で運転できるようになった。2月1日、北海道江別市の特設試乗コースで開催された、メディア向け「雪上試乗会」イベントの様子を元に、その詳細をレポートする。
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試乗会にはEVのリーフやノートe-Power、セレナe-Power、デイズ、スカイラインなどの日産車が勢揃いした。本イベントは雪上でのスラロームや坂道発進、周回コースなどを体験するものだ。路面は厚い雪で覆われ、ところどころアイスバーンと化してツルツル。一見すると、連続スピンしてタイヤは空転、下手をすれば壁にクラッシュという状況が予想でき、嫌な予感しかしない。
しかしリーフに乗り込んで恐る恐るアクセルを踏むと、「あれ?滑らない」。スラロームでもほとんど滑らない。思い切ってアクセルを踏み込み、時速60キロという雪道ではありえないスピードに上げ、恐怖で絶叫しながらフルブレーキ!……でも、やっぱり滑らないのである。スラロームで無茶なハンドル操作をするとさすがにわずかに滑るものの、それでもコントロールは失わない。乾いた路面とほぼ同じ感覚で走れてしまう。
秘密は、横滑りを防止するVDC(ビークルダイナミクスコントロール)とABS(アンチロックブレーキ)にあるという。
VDCは、駆動輪の滑り出しを感知すると、モーター(ガソリン車の場合はエンジン)の出力とブレーキ圧を最適に制御して横滑りを抑える機構である。実際にVDCをオフにして走ってみたら、発進でタイヤが空転し、コーナーで滑り出してスピンした。VDCの力は覿面(てきめん)だ。
日産テストドライバーの加藤博義氏は、リーフのVDCについてこう説明する。
「タイヤが滑り出すのを計測してトルクを下げ、滑り出さなかったらトルクを上げるという制御を1万分の1秒単位で行なっています。こういう芸当は電動車両でしかできないのです」
ガソリン車にもVDCは搭載されており、試乗では横滑り防止効果を十分に感じたが、エンジンや変速機など機械部分の慣性が強いため、モーターのような細かな制御はできないという。ノートe-Powerやセレナe-Powerもモーターで走るので、リーフと同じ制御が可能だ。特にノートe-Powerには、後輪駆動用のモーターを追加した4WDバージョンがあり、15度の雪の坂道をグイグイ登っていく様は圧巻だった。
近い将来、電気自動車が“雪道の帝王”になる日が来るかもしれない。
※今回はスノータイヤを着用のうえ、あくまで特設試乗コース内で行なった試乗です。雪の公道では「速度を出さない」「車間距離を空ける」など、普段より一層の安全運転を心がけてください。
◆協力/日産自動車 撮影/佐藤敏和 取材・文/清水典之