プロ野球界では、1年目から華々しくグラウンドで活躍したヒーローたちがいる。なかでもデビュー時の衝撃が大きかったのが、長嶋茂雄、清原和博、松坂大輔の3人だろう。彼らの何がすごかったのか、データとともに振り返る。
◆長嶋茂雄(1958年プロ入り)
1年目成績 出場試合:130 安打:153 打率:.305 本塁打:29 打点:92
ゴールデンルーキー・長嶋茂雄と国鉄スワローズの大エース・金田正一が対戦した1958年の巨人対国鉄戦はプロ野球史上、最も注目された開幕戦といわれる。通算8本塁打の東京六大学記録を引っさげて鳴り物入りで巨人入りし、オープン戦でも7本塁打と大暴れの長嶋に対し、すでに通算182勝を挙げていた金田。その対決に、後楽園球場は異様な熱気に包まれた。結果は4打席4三振。長嶋は1球もバットに当てることができなかった。
しかし、翌日から長嶋のバットは火を噴いた。新人ながら本塁打王(29本)と打点王(92打点)を獲得。新人で本塁打王はいるが、打点王は長嶋だけ。1年目から「チャンスに強い打者」を印象づけた。
打率.305はリーグ2位。盗塁は37を記録した。一塁ベースを踏み忘れた幻の1本を加えれば、3割、30本塁打、30盗塁で巨人唯一のトリプルスリー達成となっていた。
開幕戦で3番に起用された長嶋は、8月から打撃の神様・川上哲治に代わって4番を任された。日本シリーズでも4番を打ったが、西鉄の稲尾和久の前に沈黙。巨人は3連勝のあと4連敗したが、長嶋は第7戦で稲尾からランニングホーマーを放って意地を見せた。
ルーキーイヤーに6試合連続で敬遠され、そのたびに調子を崩したと言われている。現役中、敬遠に抗議するためバットを持たずに打席に入ったことがあるが、新人の時から敬遠四球が大嫌いだった。