新型コロナウイルスの感染拡大が世界各国で続き、日本でも感染者数が爆発的に増える「オーバーシュート」寸前の危機的状況だ。しぶといウイルスとの闘い、果たして今後の見通しは? ニッセイ基礎研究所・主席研究員の篠原拓也氏が、2009年に猛威を振るった新型インフルエンザの感染拡大状況と比較した。
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現在、新型コロナウイルスの感染の中心は、中国からヨーロッパやアメリカに移った。死亡者数では、イタリアやスペインが中国を上回り、感染者数では、アメリカが世界最多となっている。
世界全体で感染者は75万890人、死亡者は3万6405人。日本の感染者は2665人、死亡者は63人(横浜港に停留したクルーズ船を含む)に達している(3月31日現在/WHO調べ)。
パンデミックとなった今回の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、ヨーロッパやアメリカを中心に、世界中で国境封鎖や感染地域からの入国制限、都市封鎖(ロックダウン)などの措置がとられている。
日本はいま、感染者が爆発的に増加する「オーバーシュート」の一歩手前で踏みとどまっているといわれる。ただ、東京では1日の感染者数が最多の78人になるなど、その発生懸念が急速に高まっており、ロックダウンが現実味を帯びてきている。
過去にも2009年に猛威を振るった新型インフルエンザで、世界的な感染拡大に至ったことがある。このときは、今回と同様、パンデミックとなった。両者には、感染原因がコロナウイルスか、インフルエンザウイルスかという違いはある。しかし、どちらも肺炎を起こす呼吸器系の感染症である、世界中に感染が拡大しているなど、いくつか共通点も挙げられる。
そこで、新型インフルエンザの感染拡大を振り返ることが、新型コロナの今後を見通すうえで、何らかの参考になるかもしれない。