芸能

渡辺えり 舞台人がTVに出るのは『身を売る』と言われた過去

渡辺えりは『おしん』でも活躍した

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、女優の渡辺えりが朝の連続テレビ小説『おしん』に出演したときの思い出、商業演劇にも出演するようになって気づいたことについて語った言葉をお届けする。

 * * *
 渡辺えりは一九八三年、NHK朝の連続テレビ小説『おしん』への出演をきっかけに、世間的な知名度を高めることになる。

「今では信じられないのですが、当時は舞台人がテレビに出るのは『身を売る』なんて言われて、やってはいけないことでした。

 その頃、年に二、三度ずつ芝居をしていたのですが、みんな疲弊しちゃったんです。それで、一緒に舞台をやっていたもたいまさこが『一年休止しよう。続けたら破産する』って。そんな時、『おしん』に出ることになりました。

 最初は『一回だけ』という話でしたが、橋田壽賀子さんが凄く気に入ってくれて。それで一年間出ることになりました。ちょうど舞台の公演を休んでいたので出られたんですよね。

『おしん』は同録の撮影でしたので、舞台みたいでした。セリフをあらかじめ全て覚えていって、たとえば泉ピン子さんがたっぷりした芝居をすると私と吉岡祐一さんの夫婦が早口で喋って十五分で収めたり。ですから、違和感はありませんでした。

 出る人も撮る人も演劇青年ばかりで、飲み会もしょっちゅうでした。夜中の二時まで撮影して、その後みんなで飲みにいっても、翌朝八時にはちゃんと撮っている。五、六人いた演出家も参加しましたし、田中裕子さんや吉岡さんも。テーブルを叩きながら激論をかわしたから、翌朝手が動かないこともありました。今の人は合理的な方が多いので、そういうことをしていたら嫌われちゃいますが」

 その後はテレビドラマ、映画でも主役・脇役の双方で数多く出演、舞台公演も合わせて多忙な日々を送ってきた。

関連記事

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン