芸人の愛され方と同じように、テレビ局にも愛され方というのがあってこれは力作。「番外地」が最前線になるとき、と帯のコピーにもある。太田省一『攻めてるテレ東、愛されるテレ東』(東京大学出版会)。金が無いから知恵を出す、皆の心にうったえかけてくる放送局である。
少しマジメになると、東日本大震災をきっかけにして始まったラジオの『サンドウィッチマンの東北魂』(ニッポン放送)。東北のことを忘れずにと、ずっと活動を続ける二人には頭が下がる。
それにしても、突風で聖火が点かなくて、いきなり時間つなぎでコントをやらされてたのには笑ったなァ。
“芸”に生きる本のトリは勿論これ。八木澤高明『花電車芸人 色街を彩った女たち』(角川新書)。花電車というのはその昔、何かめでたい事があると花で飾った路面電車を走らせた所から、女性器を使って芸をみせるストリップを“花電車”と呼んだ。その心は「見せるだけで乗せない」というみごとな洒落である。人間の欲望に直結した“芸”なのだ。
■イラスト/佐野文二郎
※週刊ポスト2020年4月10日号