新型コロナウイルス感染防止の目途がつかないなか、現実味を帯びるのが「都市封鎖(ロックダウン)」だ。
そのとき、いったい何が起こるのか──。日本に先んじてロックダウンを決めた各国の様子が参考になる。
フランス・パリではまず保育園、小中高校、大学、美術館などを閉鎖し、次に食料品などの必需品を扱う店を除くすべての店を閉鎖した。続いてマクロン大統領が「私たちはウイルスとの戦争状態にある」と宣言し、2週間の自宅隔離と違反者への罰金を科す処置を断行した。
パリ郊外在住のジャーナリスト・羽生のり子さんが言う。
「ロックダウン直前にはスーパーや薬局に長蛇の列ができて食料品やトイレットペーパーが売り切れましたが、10日ほど経つとだいぶ落ち着きました。ただし米とパスタはまだ品薄が続いています」
原則として外出禁止だが、「例外的移動証明書」を持参すれば近所に出かけられる。
「テレワークができない必要不可欠な仕事や、生活に必要不可欠な買い物、通院などは認められます。証明書を持っていなかったり、規則に違反すると罰金135ユーロ(約1万6000円)。4回違反すると罰金3750ユーロ(約45万円)と半年の収監が科されます」(羽生さん)
フランスではロックダウンの意外な副作用が生じた。
「外出禁止になってから、家庭内暴力(DV)が増加したと報じられました。もともと暴力をふるう人がコロナ自粛のストレスでますます暴力的になり、自宅にいる時間が長くなった配偶者が逃げるタイミングを失うとされます。一方でDVから逃げるために外出するのは可能だとも報じられています」(羽生さん)
アメリカ・ニューヨークでは、生活を支えるインフラに従事する人以外は在宅勤務となり、学生にはオンライン授業が行われる。レストランはデリバリーとテイクアウトのみで、有名な5番街やブロードウェイからは人が消えた。
イギリスでは3人を超える集まりは禁止され、必需品を扱わない店舗は閉鎖を命じられ、違反者は罰金を科される。
残念ながら長期化も覚悟する必要がありそうだ。
パリのロックダウンは当初3月17日から3月31日までとされたが、4月15日まで延長された。
※女性セブン2020年4月16日号