新型コロナウイルスの感染者が200人を超えていたクロアチアの首都ザグレブで3月22日、マグニチュード5.4の地震が起きた。大聖堂の先端が崩れ落ち、建物の外壁が崩れるなどの被害があり、折しも新型コロナ対策で公共交通機関の運行を停止し外出自粛を要請していた政府は一転、「周囲と距離を保ちながら屋外に避難するように」と呼びかける事態となった。仮に今、首都・東京を大地震が襲ったら――そんな“最悪のシナリオ”を想起させるニュースだった。
「感染症と災害」の組み合わせは、「新型ウイルス」の脅威ではない時でも、多くの人の命を奪う。1995年に起きた阪神・淡路大震災の時は季節性インフルエンザが大流行。震災での犠牲者6434人のうち、インフルエンザが原因の肺炎などで亡くなった「震災関連死」の人数は922人にのぼっている。災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏が語る。
「東日本大震災や熊本地震の際にもインフルエンザなどの感染症が避難所で流行しました。避難所はいつもと違う環境でストレスになり、抵抗力を高めるのに十分な栄養が得られないため、感染症が起きるとあっという間に蔓延してしまいます」
新型コロナウイルスの場合はよりやっかいだ。感染しても自覚症状がない場合も多く、“密閉”“密接”“密集”という3条件が揃ってしまう体育館などの避難所で知らず知らずのうちに感染者を増やしてしまう。和田氏が指摘する。