新型コロナウイルス感染が拡大するなか、懸念されるのが「医療崩壊」だ。すでにイタリアやスペインでは、新型肺炎に対応する医療従事者や病床などが圧倒的に不足し、処置できずに息絶えていく患者も少なくないという。3月30日現在、感染者数は8万5000人を超えて死者数は7340人。イタリアは感染者数10万1000人で死者は1万1591人。
ヨーロッパの現状は決して対岸の火事ではない。なぜなら日本は65才以上が人口に占める割合が28.4%と、イタリアを抜いて、世界1位を誇る「超高齢化社会」だからだ。
それゆえ、日本の病院や高齢者施設でオーバーシュート(感染爆発)が生じて高齢者の感染者が激増すると、イタリアやスペイン以上の深刻な危機に陥る恐れがある。
高齢者はもともと肺炎で死ぬリスクが高いうえ、感染爆発によってベッドや人工呼吸器などの医療資源が不足すると、「もう死んでもらうしかない」という事態がやって来る恐れがある。医療崩壊したイタリアとスペインではそのような状態になった。
そうした事態を避けるために何より大切なのは、高齢者を感染させないことだ。
「そのために大事なのは、高齢者がなるべく家から出ないことです」と指摘するのは血液内科医の中村幸嗣さん.
「感染した際のリスクが高い高齢者ほど屋外での活動を自粛してもらいたい。同居したり、近くに住んでいる家族がいる場合は食料品や日用品の買い出しを代わりに行ってもらうのがベターです。この時期は病気が落ち着いていれば、持病の薬も受診せずに家族が代わりに取りに行くことも認められています」(中村さん)
感染させないためにも、60才以上は家から出してはいけない。ただし、高齢者と家族の接触時間もなるべく減らすことを求められる。