1978年に萬屋錦之介が主演し、話題となった時代劇『柳生一族の陰謀』。このほど、吉田鋼太郎主演で復活する(NHK BSプレミアム・4月11日、午後9時~)。時代劇好きにはたまらないという話題作。その面白さについて時代劇研究家のペリー荻野さんが解説する。
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まもなく放送される『柳生一族の陰謀』。映画好き、時代劇好きならタイトルを聞いただけで「こりゃ大変だ!」とわくわくする人気作だが、その面白さはどこにあるのか?
ポイントは、歴史をぶっ壊すほどのストーリー展開と登場人物全員のキャラが濃すぎというところ。
物語の発端は徳川二代将軍・秀忠が急死したこと。三代将軍候補には、嫡男の家光(岡山天音)と弟の忠長、ふたりがいるのだが、秀忠の妻・江与(斉藤由貴)は、昔から家光を遠ざけ、忠長を溺愛。しかし、家光の乳母お福(後の春日局・美村里江)は、なんとしても家光を将軍にと暗躍する。徳川家の剣術指南役・柳生宗矩(吉田鋼太郎)は、柳生新陰流の弟子である家光を将軍にと陰謀をめぐらす。息子の十兵衛(溝端淳平)は父の命により、敵を次々ほろぼすことになるが…。
徳川義直役の高橋克実が「『仁義なき戦い』を時代劇にした」とコメントしていたが、とにかくあっちでもこっちでもバトルが勃発。家光と忠長がお互い嫌な顔でにらみ合えば、お江与はひざまずくお福の頭を憎々し気に扇子でペチッ! こういうときの斉藤由貴の迫力はただならぬものがある。だが、ペチッとされて眉毛を吊り上げ、妖気を漂わせる美村もなかなか。京都と江戸も対立するし、大奥では女殺し屋が大暴れ。宗矩は「親に会えば親を殺す。仏に会えば仏を殺す」と怖い顔で言ってるし。毒殺、爆破、飛び道具、なんでもアリ。ここまでくると何と何が戦ってるのか…大混戦である。
そんな中、『柳生一族の陰謀』に欠かせない伝説のあの役もバッチリ登場する。それは京都の公家・烏丸少将(文麿)だ。徳川家を崩壊させ、王政復古を狙うこの男。外見は烏帽子をつけた白塗りのお公家フェイスなのだが、恐ろしく腕が立つ。1978年の深作欣二監督の映画版では、成田三樹夫が演じた。白馬に乗り、供を連れて優雅に林の道を進む少将は、馬を止めて待ち伏せする十兵衛(千葉真一)言い放つ。「出ておじゃれ!」「姿は隠しても獣はニオイでわかりまするぞ!」