教科書の内容は時代とともに大きく変わってきた。教科書出版社最大手「東京書籍」の協力のもと、現在の「中学社会」教科書の内容の変化をいくつか紹介しよう。
◆足利尊氏の肖像画→南北朝時代の騎馬武者像で不掲載
室町幕府を開いた足利尊氏の肖像画は、京都国立博物館所蔵の「騎馬武者像」だと言われてきた。しかし描かれている馬や武具、家紋などを検証したところ、尊氏ではないとする説が有力になったため、現在の教科書には載っていない。
ちなみに、この人物は尊氏の執事だった高師直ではないかとの説もある。
◆日本最古のお金は和同開珎→富本銭
和同開珎(708年)にかわり、日本で作られた最古の貨幣として教えられているのは富本銭(683年頃)。ただ確かに年代は古いが、貨幣として広い範囲に流通していた証拠がなく、「確実に広範囲に貨幣として流通した」のは依然、和同開珎であるのは変わらない。
◆士農工商→武士・百姓・町人
江戸時代には「士農工商」というヒエラルキー的な身分制度があり、士(武士)、農(農民)、工(職人)、商(商人)の順に上下・支配関係を示しているとされてきたが、現在は武士以外は、村に住む「百姓」と、城下町などの町に住む「町人」しか区別されていなかったと考えられている。儒学者が明治時代は過去と違って平等だと広めるために歴史を“後付け”したとの説もある。
※週刊ポスト2020年4月17日号