新型コロナウイルス感染拡大傾向のなか迎えた新年度。都市部を中心にさらなる休校延長の決定が相次ぎ、学校再開を待ち望んでいた子供からも親からも、不安な声が聞こえる。教育評論家の石川幸夫さんはこう懸念する。
「3月の休校に伴う授業の遅れは、通常通り新学期が始まればなんとか取り戻せたでしょう。それでも子供には大きな負担です。それがGW明けまで長引くとなれば、休校中の過ごし方次第で、子供たちの学力に大きな差が生じることは否めません」
外出自粛、イベント中止、日々の生活に閉塞感を感じる一方で、教育現場は待ったなし。コロナ休校で見えてきた国や学校、家庭で取り組む「テレ教育」とは。
◆非常時に強いデジタル機器導入校
東京都渋谷区は2017年から区立小中学校の全児童生徒約8500人と教職員にタブレット端末を貸与し、授業はもちろん、普段から家庭に持ち帰り予習復習に活用してきた。
「自分のタブレットには顔認証で簡単にログインでき、オンライン学習ドリル『スタディサプリ』や、友達同士で意見交換できる『コラボノート』などのツールを活用しています。3月の休校中も学校から課題が出たり家庭学習に活用していました。4月も学習支援ができるよう進めています」(渋谷区教育指導課)
渋谷区のようなタブレットのほか、パソコンや電子黒板などのハードウエアからeラーニング、デジタル教科書などのソフトウエアなどのICT(情報通信技術)を活用した教育に取り組む自治体や学校は、ごく一部に限られる。
一方で、コロナ騒動の影響をほとんど受けない学校もある。“ネットの学校”こと通信制の私立高校『N高等学校』だ。フィギュアスケートの紀平梨花選手(17才)が在籍することでも知られ、年齢制限はなく、オンラインで授業が受けられるネットコースと、実際の校舎に通う通学コースがある。同校を運営する角川ドワンゴ学園の担当者は言う。
「もともと授業やホームルーム、部活も友達とのおしゃべりもインターネット(以下ネット)でできるのが当校の特徴です。休校要請前の2月末から通学コースはオンライン登校に切り替え、自宅で継続して学べています」
今年度の入学式では、5500人を超える新入生全員がニコニコ生放送を視聴してオンラインで参加する予定だ。
※女性セブン2020年4月23日号