令和2年度は、小学校の教科書の改訂となる節目の年だ。現在の小学生が学ぶことは、今の大人がかつて教室で学んだこととは、様変わりしている。たとえば理科の学習で欠かせないのが様々な器具を用いた実験だ。近年は教科書で紹介され、実際に理科室で使用する器具が大きく変わった。
「以前より安全面に非常に気を配るようになり、器具は簡易化・安全化の方向で作られています。それに伴って教科書の記述も変化しています。例えば実験に液体を使う場面では保護メガネが必須です。教科書での注意表記は他の色数を抑えて、注意が目立つように表記しています」(東京書籍 小学理科編集副編集長・森田雄介氏)
現在、実験には主にアルコールランプではなくカセットコンロが使われている(ただアルコールランプのことを知識として教えておきたいという先生もいるため、教科書には掲載されている)。また、上皿天秤は実際に使われる器具としての役目は終え、「テコの原理」を学ぶ際の例として教科書に登場する。現在使われているのは電子天秤だ。
ほかに変わったのは顕微鏡の反射鏡。最近はLEDライトが使われるようになっている。学習範囲はどう変化したか。
「今回の改訂で削除されたものはなく、『音の学習』と『雨水の行方』が追加されました。『音の学習』は、音が出たり伝わったりするときには物が震えるという内容ですが、平成14年の改訂で消えていたものが戻ってきました。また小学校の教育課程のどこかで学べば良いというものなのですが、理科と算数は学習指導要領で例示されているので、それぞれプログラミングが加わっています。理科の場合は電気の利用の学習の流れの中で、機器や自分で作った電気をプログラミングによって動かすというのが特徴です」(同前)
写真■AFLO
※週刊ポスト2020年4月17日号