中国では習近平国家主席が4月1日、浙江省を視察した際、「国内ではすでに感染症流行のピークは過ぎた」などと指摘。新型コロナウイルスの感染は終息に向かいつつあるとの見方を明らかにするなど、4月に入って1日の感染者数は30人台を推移しつつある。
これに伴い、閉鎖していた観光地やテーマパークなども徐々に再開しているが、これまで自宅待機状態を余儀なくされていた市民が、ここぞとばかり観光地や繁華街などに繰り出すようになっている。これにより新たな感染の危機が叫ばれ、再び閉鎖せざるを得ない状況に追い込まれていたことが分かった。米CNNなどが報じた。
「黄山を見ずして、山を見たというなかれ」との言葉で知られ、中国の水墨山水画のモデルともなった中国安徽省の景勝地で、1990年にユネスコの世界遺産に登録されている黄山。ここに、4月4日には1日の制限数を超える2万人以上の人々が押し寄せる事態となった。
ネット上では数千人もの観光客でぎっしり埋まった黄山の遊歩道の模様を撮影した写真がアップされ、瞬く間に拡散していった。マスクをしている人が圧倒的に多いものの、人々は密着している。
このような状態になったのは、黄山公園の事務所が1月下旬からの閉鎖が解除されたことで、多くの客を呼び込もうとして、ネット上で「無料開放」を大々的に宣伝したためだ。これに呼応して、これまでの厳しい移動制限や都市封鎖が続いたことにより溜まったストレスを発散しようと、多くの市民が繰り出したようだ。
しかし、慌てたのが安徽省政府の当局者で、4日午前7時48分、「黄山公園へ入園者数が1日2万人の上限に達した。もはやこれ以上の観光客は受け入れない」との異例の発表を行わなければならなかった。