ユネスコが2009年に発表した「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」では、性教育の開始年齢が5才に設定されている。しかし日本では、性教育をタブー視する傾向にあり、「どう教えたらいいのかわからない」「恥ずかしい」などと後回しにし、結局教えないケースが多いという。
その一方で、一部のコンビニエンスストアなどでは、ポルノ関連商品が子供の目の触れるところにも並べられ、ネットには情報が氾濫している。
日本人は性についてよくわからないまま大人になっているのだ。「性=卑猥なモノ」と捉え、性教育をはき違えている親が多いのも、知識不足が原因。これは危険だと、産婦人科医の宋美玄さんは言う。
「まずはっきりさせたいのは、学校では充分な性教育はしない、ということ。文部科学省が定める学習指導要領では、性教育に関して、男女の違いと体の仕組みは教えても、『SEXで妊娠する』『コンドームである程度は避妊できる』など、肝心なことは教えられないんです」(宋さん・以下同)
まずは親が正しい知識を得て、性教育への偏見をなくすことが大切だ。
「性を正しく知れば、自分を大切にしようという自己肯定感が高まり、人を尊重できるようになる。また、望まぬ妊娠を回避したり、性加害者・被害者になることも防げます」
ではまず、どんなことを教えたらいいのだろうか。
「男女ともに水着で隠す部分は“プライベートゾーン”といって、人に見せたり触らせたりしてはいけないことを教えましょう。ほかにも、自分が嫌だと思う部分や“口”も同様。これは性犯罪に巻き込まれないためにも基本となる教育です。5才からといわず、何才からでも、聞かれたり、興味を持っているようなら教えてください。子供の年齢によって言い方は変えてもいいですが、科学的事実を淡々と伝える姿勢は、どの年代も同じで構いません」
性教育をする上で親が最も注意しなければならない点は、否定的な反応をすること。そうすると、性的なことは聞いてはいけないことだと子供が思い込み、二度と話してくれなくなる。恥ずかしかったら、「ママもお話しするのは恥ずかしいんだけどね」などと前置きするのはいい。しかし、親の固定観念を押しつけてはいけないのだ。
※女性セブン2020年4月23日号