東京都監察医務院の調査によると、東京23区内で、65才以上のひとり暮らしの高齢者が自宅で亡くなったケースは、2002年が1364件だったのに対し、2019年は3882件と、約3倍も増加している。
孤独死という言葉には、ネガティブなイメージがつきまとう。これに異を唱えるのが、日本初の「葬儀相談員」として5000件を超える相談に応じてきた市川愛さんだ(「」内、以下同)。
「独居の人が亡くなると、何も知らない人が勝手に不幸だと決めつけたり、その家族が責められることもあります。でも、ひとり暮らしをする理由は人それぞれ。家族がいようが、ひとりで自由に暮らし、ひとりで死んでも幸せだと感じている人も多いんです」
問題なのは死んだ後、すぐに見つけられないことだ。ひとり暮らしの人は、そのための対策を取っておけばいい。
「まずは日頃から、いろいろな人と連絡を取れるシステムをつくっておくこと。無理に友人をつくれというわけではなく、新聞など定期的に届けてくれる相手をつくるのでも構いません。“あの人見ないな”と、誰かに気づいてもらえるよう、工夫することが大切なんです」
家族がいるなら、LINEで1日1通メッセージを送ってもらうのでもいい。返事をしなくても、既読をつければ、生存確認になるからだ。また、金銭的に余裕がある人は、警備会社の利用を検討してもいい。
「最近は、各社がひとり暮らしの人に何かあったら急行するサービスを充実させています。郵便局員が訪問する郵便局の『みまもりサービス』もおすすめです」
また、エンディングノートを記入するのも、生前に自分の死を見つめる、という点で意味があるという。
「友人の連絡先など、細かく書くのが面倒なら、預金通帳の場所や暗証番号など、気楽に書ける範囲で構いません」
孤独死に備えることで、損をすることは何もない。年齢に関係なく、すぐに始めるべきだ。
※女性セブン2020年4月23日号