40.6%──この数字がいまの日本の状況を示している。新型コロナウイルス感染者のうち、感染経路が特定されていない人の割合である(厚労省発表、4月1日までの状況)。すでに、感染者5人のうち2人の感染経路がわかっていないのだ。
「実際、自分もどこでどう感染したのか、はっきりしないんです」と語るのは、都内で飲食店を営む男性Aさん(48才)。
3月上旬に39℃の熱が出て体調が悪化し、近所のクリニックや総合病院など3つの病院を転々としたのち、レントゲンで肺に影が見つかった。その後、PCR検査で陽性が判明。都内の感染症指定の総合病院に入院後は人工呼吸器をつけるほどの危険な容体だった。
「2月下旬までは感染者数が少なかったこともあり、発症前は不特定多数の人と外食を繰り返していました。感染発覚後に保健所の聞き取り調査がありましたが、感染経路は特定できなかった。ただ、いまにして思えば、“あそこに行かなければよかった”と後悔する場所がかなりあります」
そう語るAさんは幸いにして病状が回復したが、Aさんが入院した病院では3月下旬、志村けんさん(享年70)が亡くなった。それを考えると身の縮む思いでいる。Aさんが続ける。
「外食先も感染源の1つだと思っていますが、怪しんでいるのはスーパーやコンビニです。職業柄、買い出しによく行くんですが、店内にあるカゴやカートって不特定多数の人が触るじゃないですか。そこからの感染だと思っています。というのも、私は花粉症で、がまんできずにカゴなどを触ったその手で直接、目をかいたことがあったと思うんです」
飲食店を営むAさんはもう1つ、気にかかったことがあるという。
「営業中に運んでいたビール瓶やワインボトルなどのドリンク類や、食材が入った段ボールやパックなどが気になりました。あれだって、多くの人の手に触れて運ばれてくるわけですよね。
普段の生活では特に、口をつけて飲むペットボトルや缶コーヒーの飲み口は要注意のような気がします。そこまでわざわざ拭いている人って、めったにいませんよね」