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呼吸器科医が告発「医療崩壊による命のトリアージは目前」

医療崩壊は日増しに深刻に

医療崩壊は日増しに深刻に

 警察や軍関係の内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た警官の日常や刑事の捜査活動などにおける驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は医療崩壊の真実について、呼吸器科専門医がシリアスな状況を告発する。

 * * *
「医療崩壊に定義はない」

 呼吸器科の専門医から、そう聞かされて驚いた。

 新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから、連日のように耳にしてきた“医療崩壊”。これを防ぐべく国や政府は対策を取っているとアナウンスしてきたはずだが、その根本となる概念が定まっていないのだという。

「病院、保健所、医者や看護師など医療従事者でも、人や現場によって医療崩壊の捉え方は異なる」

 定義が明確になっていないということは、対策を講じるための基準となる方策も、優先させるべき順位も決まっていないことになる。通常の感染症を予防するための対策マニュアルやガイドラインはあっても、未知の感染症に対して一般の医療現場は不慣れなはずだ。

 医療崩壊と聞くと真っ先に、ニュースやワイドショーのイタリアやアメリカの医療現場を映した過酷な映像が目に浮かぶが、その専門医はこう語る。

「医療用物資が足りなくなり、対応する医療スタッフも不足。患者さんを受け入れることができなくなったという状態を、まずイメージするだろう。これは医療崩壊でも入口、最初の段階だと自分は思う。これまでPCR検査を制限してきたのは、不安になった人々が検査に押し寄せたり、感染者が爆発的に増加することで現場が対応できなくなるのを防ぐためだという理屈はわかる」

 しかし検査数を増やすと言いながら、状況はなかなか改善しないが…。

「呼吸器の専門医が『これは検査した方がいい』と言っても、保健所が対象にならないと断ってくる。肺を診ている専門医が判断しているのにだ。どうかしている。発熱し自宅待機している人の中には自身がPCR検査を受けられないだけでなく、陽性と判定された人と濃厚接触の疑いがある家族がいてもその家族さえも検査が受けられないというケースもある。保健所もどこも、昔ながらのお役所仕事をしている場合ではない!」

 疲弊する現場の状況を淡々と話しながらも、専門医は憤っていた。厚労省は、「地方におけるPCR検査は保健所と医師会で決めてくれ」と丸投げ状態なのが現状らしい。

「検査がすみやかに行われないことで、医療従事者の感染リスクは大きくなっている。地方病院では心筋梗塞で救急で運び込まれた高齢の患者のCTを撮ってみたら、心筋梗塞の症状は一切なく肺が真っ白で亡くなったという話も聞く。そこでは検査を行っていないというから、コロナだったのかどうか…」

 運び込まれる患者の誰が感染しているのかわからない状況は、彼らにとって恐怖だ。医療崩壊には院内感染が発生し、医療従事者が自宅待機を余儀なくされ人出が不足、感染リスクを減らすため新患の患者の受診はお断りで外来診療も制限されるという場合も含まれる。

「さらに医療崩壊が進むと、命のトリアージが必要になる。つまり、命の選択をしなければならない。医師にとっては過酷な状況だ。イタリアやニューヨークでは、すでに深刻な人工呼吸器不足から、助かる患者を優先して治療をしなければならなくなっている」

 だが、医療崩壊にはまだ先があると専門医は言う。

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