世の男性から「お嫁さんにしたい女優」と憧れを持って見られてきたタレントがいた。昭和から平成に年号が変わって以降、お嫁さんにしたいタイプはどんな変遷を遂げたのか。
1989年、結婚情報サービス会社のアンケートで、「理想の結婚相手」に求める性格は「優しい人」「素直な人」「女らしい人」がベスト3だった。
1990年代、2000年代に様々な雑誌で行なわれたアンケートを元に、本誌『週刊ポスト』で独自ランキングを作成した(*各時代に『SPA!』『FLASH』『an・an』など様々な雑誌に掲載されたランキングの1位を10P、2位以下を1Pずつ減らしてポイント換算。集計しランキングにした)。
1990年代前半の1位である田中美佐子はドラマ『結婚の理想と現実』(1991年、フジテレビ系)で良妻賢母役を好演。2位の安田成美はキッコーマンのCMで家庭的な主婦を演じた。3位の鈴木保奈美はドラマ『東京ラブストーリー』(1991年、フジテレビ系)の赤名リカ役で、ストレートに思いを言葉にする姿が好感を得て、新しい理想像を作った。
そんな役を演じた保奈美も〈男の家事担当を認めるか〉という雑誌アンケートでは、〈認めない。結婚したら家にいたい。専業主婦になると思う〉と回答。結婚したら家庭に入るという概念が色濃く残る時代だった。
共働きが専業主婦の世帯数を完全に上回った1990年代後半は、ドラマ『妹よ』(1994年、フジテレビ系)、『ピュア』(1996年、フジテレビ系)で純真な役を演じた和久井映見が1位に。一方、鶴田真由や山口智子のように大人っぽい女優も上位に名を連ねた。そして新たなタイプも生まれた。ジョージアのCMで「一生懸命も休み休みにしてよね」など働く男性を気遣った飯島直子がランクイン。“癒し系”という言葉が定着した。
2000年代、この傾向が強まる。包み込む雰囲気のある安めぐみや綾瀬はるかがベスト3に入り、明るく元気に励ましてくれそうな上戸彩がトップに。同時に、清楚なイメージの強い女子アナも人気を集めた。社会の遷移とともに、男性の求める「理想のお嫁さん」も少しずつ変化しているようだ。
※週刊ポスト2020年4月24日号