新型コロナウイルスの影響により、海の向こうでもスポーツイベントの延期が相次ぎ、メジャーリーグの開幕時期も見通しが立たない状況が続く。関係者の中では「7月開幕も難しいのでは」という意見さえ出始めている。
ところが延期が“追い風”になりそうなのがエンゼルス・大谷翔平(25)だという。
「一昨年の10月に右肘のトミー・ジョン手術を受け、球団による投手復帰プログラムを続けてきた。4月にはブルペンで全力投球できるまで回復し、順調にいけば5月中旬にも復帰登板できるとみられていた。開幕が後ろ倒しされたことで、調整は万全。開幕投手で起用される可能性も出てきた」(在米記者)
年齢が若い投手の場合、トミー・ジョン手術後に球速がアップするというデータもある。「故障で下がっていたパフォーマンスが戻り、肘だけでなく肩、腰、股関節の使い方が改善するから」(在京球団のスポーツドクター)と考えられ、大谷の自己最速記録の165キロ更新も夢ではないという。
投手復帰となれば、ファンが見たいのは“二刀流”での出場だ。メジャーリーグ評論家の福島良一氏が指摘する。
「フルシーズンであれば投手として登板する際は打席に立たず、球数も制限するなど、チームドクターから無理をさせない方針が出されるが、短縮シーズンなら試合の中での二刀流が容認される可能性が高まる」
MLBファンが待望する開幕試合、“4番・ピッチャー”大谷がマウンドで170キロの剛速球をマーク―そうなれば、日米を覆う陰鬱な空気も吹き飛ぶはずだ。
※週刊ポスト2020年5月1日号