「部屋中植物だらけという工藤静香さんです。今週で4週連続の第1位『嵐の素顔』」──平成元年6月22日、イントロが流れると、進行役の柄沢晃弘アナが一言こう添えていた。
これは、『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』(フジテレビ系)で披露されたお笑い芸人・アナログタロウの曲紹介ネタではない。昭和の人気歌番組『ザ・ベストテン』(TBS系、昭和53年~平成元年)で実際に放送されたナレーションである。
新型コロナウイルスの感染拡大により、テレビ局が満足に新規番組を制作できない今、『ザ・ベストテン』の再放送を望む声が上がっている。同番組は、昭和56年9月17日に最高視聴率41.9%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)を記録。平成14年9月、20周年を迎えた『ザテレビジョン』(角川書店)の読者投票による“歴代テレビ番組ベスト10”では、2位の『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)、4位の『8時だョ!全員集合』(TBS系)などを抑え、堂々の1位に輝いた。
『ザ・ベストテン』は徹底的に細部にこだわり、出来る限り多くの情報を伝えていた。その代表的な例の1つが、冒頭のようなイントロに挟むナレーションだ。久米宏が司会を務めた昭和50年代は主にリクエストハガキを送ってくれた人の名前を読み上げていたが、昭和60年代になると歌前のトークの補足情報などを盛り込むようになる。
昭和63年4月14日、南野陽子が『吐息でネット。』で8位にランクインし、9位の小泉今日子、7位の中山美穂とともに登場。司会の黒柳徹子の近くに『コンビニエンス ザ・ベスト店』という看板とレジが置かれ、普段の買い物生活について話した。『吐息でネット。』のイントロが流れると、3代目司会者の松下賢次アナはこう読み上げた。