ペルーの首都・リマの警察は新型コロナウイルスの感染の診察を違法に行っていたなどとして、リマ市内の保健所に勤務する中国国籍の男を逮捕した。しかも、男が使っていたウイルスの検査キットは中国政府がペルー政府に寄贈していたもので、それを保管先から盗んだものだったことが判明。ネット上では「盗人猛々しいとはこのことだ」との声が出ている。AFP通信が報じた。
この男はリマ市在住の張天興(36歳)。張は市内のリマ・スール保健所に勤務しており、身分証明書などを利用して、通い慣れたペルー保健省に入り、倉庫室にあった新型コロナウイルスの検査キットやマスクなどを盗んだという。
張は自宅でこの検査キットを使って、2人の女性の感染の有無を調べていたところ、警官に踏み込まれて、逮捕された。逮捕当時、張は水色の医療用防護服や手袋を身につけ、マスクを着用していたという。
2人の女性は張から「私は保健所に勤めており、新型コロナウイルスの検査がすぐできる」と持ち掛けられて、診察費名目で現金を支払って、検査を受けた。
張の自宅では25セットの検査キットなどが入った医療パッケージ袋を発見された。これについて、張は保健省から盗んだことを認めている。
ペルーのマーティン・ビスカラ大統領は3月下旬、迅速にウイルス検査ができる33万個の検査キットがリマに到着し、全国各地に配布されたと発表している。検査キットは中国製で、中国政府から寄贈されたことも明らかにしている。また、ペルー保健省は4月5日時点で4万5272件の検査を行ったと発表した。
中国ではネット上で、張について、「中国政府からペルー政府に送られた検査キットを盗んだうえに、金もうけをしようなんて、中国人の恥だ」などと張の行為を強く批判する書き込みが目立っている。