国内

「緊急事態宣言」のその後、我々に求められる「覚悟」とは

自粛要請で閑散とする東京・銀座の街

自粛要請で閑散とする東京・銀座の街

 この2週間が瀬戸際、と言われてしばらく経つ。事態を楽観視することが難しいのは誰もが理解しつつある。コラムニストのオバタカズユキ氏が指摘する。

 * * *
 4月23日、女優の岡江久美子さんが新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった。3月29日に亡くなった志村けんさんに続いて、大物芸能人の訃報である。コロナの恐怖は自分の直接の知人が罹患した場合にぐっと増すが、こうやって有名人が亡くなった場合も身近な不幸のように感じるものだ。そして、この感染症はヒトゴトではないと、さらに多くの人々が恐れ、防疫に努めようとする。

 その一方で、ウイルス流行が長びくことで、行動制限による経済的損失がどんどん大きくなり、事業や家計が立ち行かなくなる、というもうひとつの恐怖も増していく。それも避けようのない現実である。

 東京商工リサーチによると、4月23日17:00までに、新型コロナ関連の経営破綻は全国で累計84件に達したとのこと。2月は2件、3月は23件だったが、4月に入ってからは23日までに59件破綻している。

 まさに指数関数的といえる増え方だが、今後はさらに激増していくだろう。今のところ、経営破綻で一番多い業種は宿泊業、次いで飲食店、アパレル関連。コロナ禍をダイレクトに受ける業種ばかりだが、事態が続けば、製造業などにも危機が迫るはずだ。

 それにしても、このコロナ禍はどうやら想像していた以上に手ごわい。4月8日の「緊急事態宣言」発令から2週間が過ぎた今この時点で、宣言の期限である5月6日までに感染状況が好転し、宣言が終了すると思っている国民はほとんどいない。

 素人予測だが、緊急事態宣言はさらに1か月延長することになると思う。では、6月初旬には終了するか。それも難しい気がする。コロナ禍がまだヒトゴトだった頃は、高温多湿の梅雨時になれば流行も収まるはず、と見られていたが、今はもうそんな楽観視をする人なんてまずいない。

 私がかかりつけ医から直接聞いたところによると、医師が所属している国立大学病院では、緊急事態宣言から半年は緊急事態が続くものと想定して、医療体制を整えているとのことである。国や医師会などの「トップ」がそう考えているのではなく、病院単位でそれぞれが予測、判断をしているという。

 緊急事態宣言の半年先といったら、10月初旬である。今年の秋には事態が「終息」しているだろうか。新型コロナの新規発症がなくなっているか。それはちょっとイメージしにくい。そのためにはきっとワクチンや特効薬が必要で、それらが使えるようになるには、もっともっと長い月日が必要である。

 感染者数や死者数がかなり減って、今の混乱もだいぶ落ち着く「収束」なら、もしかしたらありえるかもしれない。だが、多くの専門家はその「収束」イメージでも、1年、1年半、人によっては2年以上かかると言っている。少し前まで開催の是非を議論していた東京オリンピックは来年の夏に開催される予定だが、最近はそれも中止になるだろうと見る向きが強い。

関連キーワード

関連記事

トピックス

タイと国境を接し、特殊詐欺の拠点があるとされるカンボジア北西部ポイペト。カンボジア、ミャンマー、タイ国境地帯に特殊詐欺の拠点が複数、あるとみられている(時事通信フォト)
《カンボジアで拘束》特殊詐欺Gの首謀者「関東連合元メンバー」が実質オーナーを務めていた日本食レストランの実態「詐欺Gのスタッフ向けの弁当販売で経営…」の証言
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
まさか自分が特殊詐欺電話に騙されることになるとは(イメージ)
《劇場型の特殊詐欺で深刻な風評被害》実在の団体名を騙り「逮捕を50万円で救済」する手口 団体は「勝手に詐欺に名前を使われて」解散に追い込まれる
NEWSポストセブン
戸郷翔征の不調の原因は?(時事通信フォト)
巨人・戸郷翔征がまさかの二軍落ち、大乱調の原因はどこにあるのか?「大瀬良式カットボール習得」「投球テンポの変化」の影響を指摘する声も
週刊ポスト
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン