世界に先駆けて新型コロナが収束の兆しを見せる韓国で、総選挙が行なわれた(4月15日)。結果は文在寅大統領率いる与党「共に民主党」が、比例の衛星政党「共に市民党」と合わせて全300議席中180議席を獲得する圧勝。
「経済政策の失策や、青瓦台の蔚山(ウルサン)市長選挙介入疑惑など逆風続きの政権与党でしたが、ドライブスルー形式のPCR検査や感染者の移動経路公開など、『検査と隔離』を徹底し、都市封鎖せずにウイルスを封じ込めた新型コロナ対策が評価された形です。この功績で国民は政権支持に転じた」(在韓ジャーナリスト)
この勝利であの人物の復権も囁かれている。昨年10月に娘の裏口入学疑惑で法相を辞任し、収賄容疑で検察に起訴された“タマネギ男”こと曹国(チョ・グク)氏だ。韓国政治に詳しいジャーナリストの赤石晋一郎氏が語る。
「選挙後の文政権が真っ先にターゲットにするのは、検察だと見られています。文大統領は就任時から強大な権力を持つ検察改革を掲げており、法曹界出身の曹国氏は文大統領の右腕として、改革の期待を一手に背負って法相に就任した。文氏は一連の疑獄を政権との確執を指摘されてきた検察によるクーデターとみており、今後は検察への圧力を強めると同時に、容疑を否認している 国氏を全力で守り、あらゆる手で無罪の機運を作り出していくはず」
選挙前の3月から法務畑の与党議員らが「 国守護、反検察」を掲げる集会を開いており、「いまや 国氏は反検察の象徴。次期大統領候補にも名前が浮上している」(前出・在韓ジャーナリスト)。
皮を何枚剥かれても、運は持っているようだ。
※週刊ポスト2020年5月8・15日号