芸能

岡村隆史の失言とフェミニズム村の空気について考えてみた

ラジオでは約4分かけて謝罪

 過ちをおかせば報いを受けるのは常。だが、厳しく叱りさえすれば事態は改善するのかといえば、どうだろうか。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

 * * *
 新型コロナウイルスで落ち着かない日々ですが、それはそれとして、今こそフェミニズムの踏ん張り時ではないでしょうか。このままでは、せっかくの先人たちの努力が水泡に帰してしまいます。声を上げて戦ってきた先人たちのおかげで、男女が平等であることは大切だという当たり前の認識が少しずつ広がってきました。

 いっぽうで一部の「フェミニスト」の狼藉っぷりや「フェミニズム」の名の元に行なわれる一部の残念な行動は、多くの人の眉をひそめさせています。その手の人たちがその手の行動を繰り返すようなら、ますます「フェミニストは怖い」「フェミニズムは面倒臭い」という歪んだイメージが強まってしまうでしょう。

 ここまで読んで、脊髄反射で「こいつはフェミニズムを分断させようとしている!」「ありもしないレッテルを貼ってフェミニストを迫害しようとするミソジニストだ!」とレッテルを貼ろうとする人もいるかもしれません。今の日本で「フェミニスト」や「フェミニズム」という言葉に、マイナスのイメージがないと本気で思っているなら、仮にあるとしても原因は男性側にあると本気で思っているなら、それはかなり偏った認識です。

 もちろん、今のような状況はよくないと思っているからこそ、フェミニズムがもっと定着して、男性も女性もフェミニストであることが当たり前の世の中になってほしいと願っているからこそ、おせっかいを承知で、キツイお叱りを覚悟で、わざわざ言わなくてもいいことを申し上げる次第です。わかってくれる人がいると信じつつ。

 ほかでもありません。まず取り上げたいのは、4月23日深夜のニッポン放送『ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン』における、岡村の呆れた発言のことです。最近は「radiko」という便利なもの(アプリ)があるので、いちおう前後の流れも含めて聞いてみましたが、あれはゲスで無神経で失礼です。そりゃ、いろんな人に叱られるでしょう。

 しかも、最近は「問題発言」を拾ってまとめてくれる親切なニュースサイトもあるし、発信力の大きな人が手練れの技を駆使して読んだ人の感情を激しく揺さぶる伝え方をしてくれます。断片的な情報として受け取ったら、さぞ腹が立つに違いありません。深夜のラジオだけだったら知ることもなかったのに、便利な世の中になったものです。

 当然ですが、岡村を擁護する意図も義理もありません。多くの人が批判の声をあげて大炎上したことで、彼の言葉に潜んでいる差別意識や勘違いがあぶり出されました。私も含めて「自分の中にも彼と同じ差別意識があるのではないか」と胸に手を当てて考えた男性も少なくないでしょう。番組関係者に限らずメディア関係者全員が、何がいけなかったのか考え、今後同じ過ちをしないようにしようと肝に銘じたに違いありません。

 翌週4月30日深夜の同番組で、岡村は自分の発言について謝罪と反省の言葉を何度も繰り返しました。当然のことです。さらに、相方の矢部浩之が登場して公開説教を展開。ふたりの関係が悪化していることをぶっちゃけつつ、なぜ距離ができたのか、矢部が岡村を長年どう見ていて、どんな違和感や怒りを感じていたのか。そんなことを忌憚なく本人にぶつけるという迫力の内容でした。いいものを聞かせてもらったという印象です。

 問題発言が波紋を呼び、多くの批判が寄せられたことで、プラスの副産物がたくさんありました。フェミニズムの考え方に後押しされて、フェミニストの人たちが積極的に声を上げてくれたおかげです。ただ、よかったことばかりではありません。彼の発言が話題になった直後の4月29日に、ネット上で【女性軽視発言をした岡村隆史氏に対しNHK「チコちゃんに叱られる」の降板及び謝罪を求める署名活動】が立ち上がります。

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン