新型コロナウイルスは中国湖北省武漢市で発生したとされているが、新説が登場した。この説によると、このウイルスは早ければ昨年9月に武漢市よりも南の雲南省南西部で発生し、その後12月までの間に突然変異し、コウモリを媒介にして、武漢市で人間に感染した結果、中国で爆発的に感染が拡大したのではないか──というものだ。
英ケンブリッジ大学の科学者らで構成する研究チームは4月中旬、新型コロナウイルスの起源について、このような研究成果を論文にまとめて発表した。香港の英字紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』が報じた。
同大の研究グループは世界中からさまざまなウイルスを集めて分析し、それらのウイルス発生の年月日を特定し、世界地図上に図式化するという手法で、新型コロナウイルスの発生源を特定しようと試みたという。
その結果、コロナウイルスは2003年秋から2004年春にかけて、中国で大流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)のコロナウイルスと96%同じ遺伝子を共有することが判明した。すでに、新型コロナウイルスの原型のウイルスは2013年、中国人の免疫学者によって、雲南省でコウモリから検出されていたというのだ。
ケンブリッジ大の研究チームは「新型コロナウイルスは2013年から昨年9月まで、人間や動物にとって無害な品種だったものが、9月から12月の間に数回の突然変異を繰り返すうちに、ヒトにとって脅威となる病原体へと大きな変化を遂げた可能性がある」と指摘している。