ただでさえ“いけない関係”が、会うことすら禁じられてしまう。この厄災によって数多の不倫カップルが緊急事態を迎えている。たとえ人目を忍んで会うことができたとしても、複雑な思いを抱く人もいるようだ。外資系企業に勤めるミサさん(39)は、こう語る。
「彼とは会う約束もできないから連絡も減って“もうダメかな”となっていました。しばらく連絡しないでいたら、彼が“食事くらい行こうか”って誘ってきたんです。本来だったら放置しといてと怒るところですが、私もすぐに“会いたい”と。そこからは緊張の糸が切れたように会ってしまっています。少し顔を見るだけのつもりが、いざ会うともう少しいたいとなって私の家に移動するんです」
ただし、会っていても理性と感情の間で揺れ動いているという。
「バスルームから出たら、私がさっきまで触っていた首元やスマホを除菌シートで拭いているのを見てしまって……。もちろん私も大人だから、感染したりさせたりすることで大きな迷惑をかけることになるということは理解しているんですけどね。男の人ってこういう時にボロが出やすいから、帰り際に“トイレットペーパー買って帰らなきゃ”と言われた時には凍り付いた気分でした。でも、こんな時に会ってくれるだけで許せます」
20年にわたって不倫当事者の取材を続けるライターの亀山早苗氏が言う。
「不倫カップルにとって新型コロナの現状は試金石になっていて、別れる男女がいる一方で、“この苦難をなんとか乗り越えてまた会おう”と不倫関係の妙な絆も生まれているようです」
収束の見えない新型コロナの陰で、不倫カップルは揺れ動いている。
※週刊ポスト2020年5月8・15日号