新型コロナウイルスの影響で、開幕時期すら危ぶまれている状況だが、今年のプロ野球界には、広島・佐々岡真司氏、ヤクルト・高津臣吾氏、楽天・三木肇氏という3人の新監督が誕生している。いずれも数年間に及ぶコーチ生活を経て、指揮官に昇格した。野球担当記者が話す。
「今季、12球団の監督の中でコーチ経験がないのは栗山英樹氏(日本ハム)、工藤公康氏(ソフトバンク)、井口資仁氏(ロッテ)の3人。アレックス・ラミレス氏(DeNA)は2014年に独立リーグの群馬ダイヤモンドペガサスで選手兼任コーチ、翌年にはオリックス巡回アドバイザーをしていました。NPBでの1年間専任コーチを務めていないという点では4人です」(以下同)
逆に言えば、12球団の中で、ラミレス監督を含めて4分の3は指導者を経験してから、監督になっている。かつては長嶋茂雄氏(巨人)や有藤通世氏(ロッテ)のように現役引退後即監督になる場合もあれば、金田正一氏(ロッテ)や鈴木啓示氏(近鉄)、田淵幸一氏(ダイエー)のように引退後、解説者として活動し、コーチ経験なしで監督に就任する人物も多数いた。
「昭和や平成の初期までは、指導者としての実力を評価するよりも現役時代の実績や知名度、人気を優先させる傾向が強かった。もちろん、西本幸雄氏(阪急、近鉄)や上田利治氏(阪急、日本ハム)のように、現役時代はスター選手と呼ばれる存在ではなかったが、長年のコーチ生活を経て常勝監督になった人もいますが、そうした監督は少数派でした。一時期、コーチ経験なしで失敗する監督が目立ったこともあり、徐々に変わっていったのでしょう」