昨年のラグビーW杯で日本代表8強入りの快挙を支えた福岡堅樹(27)。7人制ラグビーに転向して東京五輪代表入りを狙い、その後は引退して医師免許取得を目指すとしていたが、コロナ禍でそのプランの変更を余儀なくされている。ラグビージャーナリストの村上晃一氏が言う。
「福岡は今年7月の東京五輪の7人制に照準を合わせて調整を続け、その後は来年1月から始まるトップリーグ(15人制)に出場して引退する予定でした。しかし五輪の1年延期で、来年1月にトップリーグに参戦してから再び7人制を目指すことになる。
今年は五輪合宿のためにトップリーグ出場を減らしたが、来年も同じようにするのか、五輪を諦めてトップリーグで現役を終えるか選択を迫られる。所属するパナソニックとの話し合いになるでしょう」
五輪延期発表後の3月24日には、福岡は自身のツイッターで猫の写真をアップし、〈何がどう転ぶか分からないこんな状況の時にこそ、実家から送られてくるこの癒しの存在には助けられます。自分にコントロールできないことは考えても仕方ない。今の自分にできる最高の準備を続けよう!〉と投稿した。異例の事態に何とか対応していくしかないのが実状のようだ。
ただし五輪出場を優先する場合、7人制代表にとってプラスに働くという見方もある。前出・村上氏はこう指摘する。
「福岡はトップリーグで左膝を痛めたこともあり、五輪延期はむしろ好材料でしょう。さらに27歳とラグビー選手として脂が乗った年齢なので、7人制に出場すれば、50m5秒8の俊足とW杯で4トライをあげた経験を活かして、メダル獲得に貢献する可能性は十分ある」
いずれにせよ、あの快足を長く見られることはファンにとって幸運だ。
※週刊ポスト2020年5月8・15日号