新型コロナウイルスの感染拡大で日本全国が混乱する4月20日5時39分頃、宮城県沖を震源とする最大震度4の地震が発生。早朝から緊急地震速報の警報音が鳴り響き、「こんなときに地震まで…」と不安を募らせた人は多かった。地震は感染症流行の最中でも発生する。そのとき、私たちはどうするべきか。
避難所内での感染拡大の可能性を考え、可能な限り在宅で避難スべきだと言われるが、「そもそも、避難所には誰でも入れるわけではない」と、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんは言う。
「新型コロナウイルス感染拡大の影響いかんにかかわらず、従来より避難所の数が充分に確保されていません。これは全国的な問題なのですが、特に東京都は深刻で、内閣府の試算によると、首都直下地震が発生した場合、約60万人分の避難所が不足すると推計されています」(和田さん・以下同)
そのため災害が発生した場合、高齢者や障害者、乳幼児がいる世帯が優先的に入所できる仕組みになっている。
では、もしも、【A】『マンションに住む老夫婦』と【B】『木造一戸建てに住む子育て世帯』があったなら、避難所に入れない可能性があるのはどちらなのだろうか?
◆避難所に期待せず 独自の準備が大切
「マンションの住民は避難所を使えないと思った方がいいでしょう。というのも、タワーマンションなど大規模マンションの住民を受け入れると、ただでさえ数が足りない避難所はひっ迫し、機能しなくなる恐れがあるからです。避難所は、自宅が倒壊・滅失などの被害を受けた人や、その恐れがあって自宅にいられない人が避難生活をする場所なので、木造一戸建てよりも構造が頑強で倒壊する可能性の低いマンションに住む人達の受け入れを、避難所は想定していません。東京都もマンションの住民には、可能な限り在宅避難を呼び掛けています」
ということで、避難所に入れない可能性があるのは、【A】『マンションに住む老夫婦』だ。
とはいえ、木造家屋も安全が確保できている場合は断られることも。また、倒壊は免れても、電気や水道などのライフラインが止まって、自宅での生活が困難になる可能性はある。
「1週間程度は自宅で生活ができるよう、飲料水・食料品・生活&衛生用品などを準備しておきましょう。マンションの管理組合と協力して、マンション自体の防災力を高めることも大切です」
避難所に入れないことも念頭に備えなければならない。
■イラスト/大窪史乃
※女性セブン2020年5月21・28日号