大手下着メーカー・トリンプが2018年に発表した、日本人女性の最新バストサイズ調査の結果は驚くべきものだった──。バストの専門家である天神レディースクリニックの森智恵子院長は、「ここ数年、女性の胸は飛躍的に大きくなっている」と語る。
「トリンプが1980年に調査した際は、Aカップが58.6%と半数以上、最も大きいサイズはDカップで、4.5%しかいなかった。それが2018年の調査ではDカップ以上が53.1%にまで急増しています」
そもそも1980年にはEカップやFカップは存在すらしていなかった。その理由を『巨乳の誕生』(太田出版刊)の著書があるライターの安田理央氏が語る。
「戦後の日本人女性にとって“バストが大きい”ことは恥ずかしいことでした。当時もDカップ以上の女性はいたはずですが、国内のブラジャーにはサイズがなく、大きなサイズだと自ら進んで申告する女性も少なかったのです」
しかし近年はそうした偏見や抑圧から解放されたほか、肉体面でも変化があった。
「基本的にバストは思春期から成人期にかけて女性ホルモンが分泌されることにより成長します。30年の間に日本女性のバストが急成長したのは食の欧米化による肉体的な成長のほか、バストが恋愛市場におけるセックスアピールとして見られるようになったことが影響しています。
女性自身が、“大きいバストは女性らしい曲線美である”という意識に変わってきたことが大きい。自ら進んで胸を大きくしようと意識する “育乳”をする女性が増えたのです。私のクリニックにいらっしゃる女性にもナイトブラを推奨していますし、サプリメントを常用されている方も少なくありません」(森院長)
取材・文■河合桃子 撮影■井上たろう
※週刊ポスト2020年5月22・29日号