人混みを避けるご時世だからなのか、誰もが一度は夢見たことのある“無人島暮らし”に注目が集まっている。現在9つの島を取り扱い、日本で初めて無人島販売を手掛けた“業界”最大手の不動産会社「アクアスタイルズ」佐藤政信社長が語る。
「春先から問い合わせが急増しています。無人島は人の行き来もないし、安全なイメージがあるからでしょう。通常3年に1島くらいのペースですが、3月に2島も売れて驚きました」(佐藤社長。以下「」内同)
国土交通省によれば、日本には現在6432もの無人島がある。だが、国や自治体が所有する場合が多く、「売りに出るのは希少物件」だという。
「1つの島の所有者が10人以上いたり、さらにその中に連絡が取れない人がいるなど、権利関係が複雑でまとめられないケースが多いのが特徴です。一方で、近年は高齢になって住むのが大変だから手放したいという方や、島を相続したが使わずに税金だけ払うのは嫌だと売りに出す方が増えています」
あるようでないのが無人島物件といえそうだが、そもそも決して安い買い物ではない。クルーザーを所有し、海好きが高じて香川県の無人島を購入したことで知られる俳優・森繁久彌を引き合いに出すまでもなく、無人島は高嶺の花のイメージが根強い。
「ウチの場合、最高値は沖縄県のウ離(ばなり)島の5億円ですが、最安値は三重県の間崎島で600万円。電気や水道が通り、住居もあるなどインフラが整っていると値段も上がりますが、何もない島でもソーラーパネルや海水の淡水化装置も安くなっているので生活には困りません。維持費も、固定資産税などは年間2万~10万円です」
本格的に移住するのもいいが、別荘感覚で余暇を満喫するという手もある。やはり無人島には夢がある。
◆佐藤社長(筆名:佐藤ノブ)の著書『無人島売ります!』(主婦の友社刊)には、無人島の購入方法から住み方まで、無人島ライフの情報が満載。
※週刊ポスト2020年5月22・29日号