4月に小学校に入学した生徒たちが休校で学校に通えない状況が続くなか、小池百合子・都知事らは「9月入学」へのスライドを提唱している。教育関係者の中からも9月入学を歓迎する声が出ている。ただ、その場合、学校行事の“季節感”は様変わりする。
9月入学で、6月末に学年末を迎えることになれば、梅雨明け~夏の「プール授業」はいったいどうなるのか。
学校で泳げるのが、卒業や終業式の直前と、入学・進学後にほんの少しだけ、ということになるが……。
「たしかに年度末にプールの授業というのはやりにくいし、授業がやれたとしても成績には反映しづらいでしょうね。“学校プール”という存在そのものがなくなる方向に動く可能性が高いのではないか」
と話すのは、名古屋大学大学院発達科学研究科准教授で教育評論家の内田良氏。学校のプールは水道代などのコストがかさむうえ、多くの学校が老朽化の問題も抱えている。
「プールを改修するとなると莫大な費用が必要になる。そのため自治体によっては、古くなったプールを使うのをやめて、民間の屋内プールを借りて授業を行なうところも増えている」(内田氏)
民間の屋内施設を借りれば、どのシーズンでも水泳の授業が可能になるし、空模様を気にする必要もなくなるというメリットはある。
すでにプールが使われなくなり、釣り堀として市民に開放されている学校もあるという。暑い日差しの中、学校のプールで泳ぐ……9月入学になれば、そんな風物詩は完全に過去のものになりそうだ。
※週刊ポスト2020年5月22・29日号