密集、密閉、密接の「3密」を避けましょうという呼びかけが始まって1ヶ月以上が経過した。その呼びかけが功を奏したのか、いつもなら多くの人で賑わうはずの銀座や渋谷などの歓楽街、観光地に多くの人がやってくることはなく、「3密」は避けられているように見える。ところが、別の場所で密が多数、発生し、迎えねばならない人たちが疲弊している。ライターの森鷹久氏がレポートする。
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新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、史上もっとも人の動きがないゴールデンウィークが終わったとはいえ、緊急事態宣言下であることに変わりは無い。ただ、家にこもり静かに過ごすことを続けている、とは言いがたい場所がある。
「外出自粛が続き、自宅環境を整えようという人々が増えたんです。客足は4月の中頃から増え、ゴールデンウィーク期間中はかき入れ時の例年を上回る人出、まるで遊園地状態。従業員も総出で対応に当たりました」
こう話すのは千葉県内の家電店店員・横田一志さん(仮名・30代)。大掃除用にと掃除機が売れたり、自宅での食事をより良いものにしたいとホットプレート、電子レンジ、炊飯器などの売り上げが目立ったという。同じ理由で客足が伸びたのは、休業要請の対象にはならなかったホームセンターだ。都内の大型ホームセンターのアルバイト・藤原美津子さん(仮名・50代)が、目の回るような忙しさだった今年のゴールデンウィークを振り返る。
「植物の売り上げが特に顕著で”庭の手入れをしたい”といって家族で訪れる人が目立ちました。熱帯魚やペットコーナーも大盛況。特にゴールデンウィーク直前には、ビニールシートやテント、BBQグッズが飛ぶように売れました。自宅のお庭でキャンプをする人がいる、というニュースを見ていましたが、どう考えても外出目的の人たちばかり。マスクと手袋、フェイスシールドをして接客にあたるんですが、怖いったらありません。レジも長蛇の列、間隔を開けて並ぶようにいうのですが、店の外にまで行列ができるほどで、最終的には完全な3密空間が出来上がっていましたね」(藤原さん)