映画『キネマの神様』は情報解禁当初から、志村さん(享年70)の初主演映画として注目を集めていた。が、クランクイン直後に志村さんが新型コロナウイルスに感染し、撮影は休止。降板が決定した直後、志村さんは帰らぬ人となった。そして、志村さんの代役には、沢田研二(71才)が起用されることとなった。
「代役に決まったことは、私には事後報告でしたね」
沢田の事務所の代表に昨年末に就任したばかりの岸部一徳(73才)は、記者の質問に苦笑いしながら答えた。沢田とはザ・タイガースのバンド仲間だが、志村さんとの間には、あえて立ち入らずにいるように見えた。
代役に決まった沢田は、「志村さんの、お気持ちを抱き締め、やり遂げる覚悟です」と短いコメントに思いを込めた。
「あんな大スターはほかにいない」と志村さんが沢田を評せば、沢田は「コメディアンとしての志村を尊敬している」と口にする。お笑い界と音楽界のレジェンドには、その才能を認め合って50年近い歴史がある。
「2人は、約50年前に所属していた芸能事務所で先輩と後輩の関係でした。結成はドリフターズの方が古いけれど、志村さんが加入したのはタイガースが解散した後で、年齢もジュリーの方が1つ上の先輩です」(音楽業界関係者)
2人の出会いは、志村さんがザ・ドリフターズに正式加入する前の1972年のこと。志村さんは当時「マックボンボン」というお笑いコンビを組んでいて、ソロデビュー後の沢田の前座を務めたこともあった。
◆正式オファーからわずか30分で快諾
沢田と『キネマの神様』の山田洋次監督は、『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』以来、38年ぶりのタッグとなる。
「『男はつらいよ』はいまの奥さんの田中裕子さん(65才)との出会いのきっかけになった作品で山田監督に対する恩義もある。米寿の山田監督と仕事をする機会も限られてくる。男としての役目を果たそうと思ったのでしょう」(芸能関係者)
実は、2人は思わぬところで再会を果たしていた。