新型コロナウイルス感染防止のため、多くの学校が長期休校となり、子供たちも大きな不安を抱えていることだろう。そこでジャーナリストの池上彰氏(69才)が、子供たちにメッセージを送る。
【プロフィール】いけがみ・あきら/長野生まれ。大学卒業後NHKに入局し、1994年から11年間『週刊こどもニュース』で“お父さん”役として、さまざまなニュースを解説。2005年に退局した後はフリージャーナリストとして、テレビや新聞、雑誌など多くのメディアで活躍。
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いつもどんな時間の使い方をしていますか? ゲームに夢中になっていないかな。
外に出て思いっきり体を動かしたいよね。友だちにも会いたいよね。それができないのはつらいよね。でも、それはみんな同じなんだ。自分だけそんな立場だと腹も立つけど、少なくとも君の周りの仲間は、同じ状態になっていると考えると、少しは我慢ができるだろうか。
いまはつらいけど、いずれこの状態は終わる。学校の授業が再開され、友だちと会えるようになる。そのとき、君はどんな話をするだろうか。いまから考えてみようよ。「あのときね、こんなことを考え、こんなことをしたんだよ」と話せる内容を、いまから積み重ねておく。これって、けっこう楽しいよ。
私だったら、いつもはなかなか読めない本を開いてみるな。君も、「名前は知っているけど読んだことがない本」というのがあるんじゃないかな。実は私もいま、そんな本を読んでいる。こんなことでもなかったら、とても手に取ることのない本を読んでいるんだ。
いまの状態はくやしいけれど、長い人生のうちで一度は読んでおきたい本に触れることができて、貴重な時間だと思っている。
君も、そうやって時間を使っていると、久しぶりに会った友だちに、「君って、しばらく見ないうちに大人になったねえ」と驚かれるかもしれない。それを考えただけでも、ワクワクしないかい。
蝶は、まったく動かないサナギの状態があるから、そのあとで美しい羽を広げて世界に羽ばたくことができる。君たちは、いまサナギなんだよ。やがて大空に飛び出す日を楽しみにしています。
※女性セブン2020年6月4日号