日本で韓流ブームに火をつけ、「ヨン様ブーム」と呼ばれる社会現象となったドラマ『冬のソナタ』の放送から17年。各々が外出を自粛し「おうち時間」を過ごす中、動画配信サービスNetflixで今年2月から配信されている韓国ドラマ『愛の不時着』が新たなブームを巻き起こしている。日本でも異例の売り上げとなった小説『82年生まれ、キム・ジヨン』、米アカデミー作品賞を獲得した映画『パラサイト』といった作品を立て続けにヒットさせている韓国から生まれた、息もできないほどの切なさが詰め込まれたラブロマンスがここに──。
◆ヒロインの「勇ましさ」 ヒーローの「母性」
数えきれない魅力を持つ『愛の不時着』だが、やはり柱となるのは主人公のカップルだ。
ドラマ『私の名前はキム・サムスン』(2005年)、『シークレット・ガーデン』(2010年)などに出演し、「完璧すぎるスター俳優」と称されるヒョンビンが演じるリ・ジョンヒョク(37才)は、訳あって素性を隠すが、実は北朝鮮の名門家出身のエリート。独裁国家の軍人だけに眼光鋭く、185cmの長身に細身ながらがっしりとした体格の役どころである。
「ヒョンビンは軍人役を演じるために体を鍛えて日焼けし、数か月をかけて北朝鮮の方言を猛勉強しました。韓国では、ジョンヒョクの口調をまねる北朝鮮なまりがブームになりました」(韓国人ジャーナリスト)