国内

柴咲コウも危惧 「種苗法改正案」の問題点を元農水相が解説

中国で売られる国産の「シャインマスカット」(時事通信フォト)

 検察庁法改正ほどの盛り上がりではないが、芸能人の“意思表明”によりネット上で話題になった法案が、「種苗法改正案」だ。きっかけは、女優・柴咲コウ(38)のツイッターだった。4月30日、柴咲は〈新型コロナの水面下で、「種苗法」改正が行なわれようとしています。このままでは日本の農家さんが窮地に立たされてしまいます〉と投稿した。

 いったい彼女は何を危惧しているのか。山田正彦・元農水相が解説する。

「種苗法改正案は、農水省に品種登録された8000品種余りの国産ブランド農作物の種苗を農家が栽培する場合、種苗開発者の許諾が必要になるものです。『あまおう』や『シャインマスカット』など、人気国産ブランドの種子が海外に不正に流出するのを防ぐことが目的とされていますが、農家はこれによって許諾料や苗の購入など新たな負担が必要になります」

 確かに今の状況では、第三者が“国産ブランドをコピーし放題〟という問題があったが、そのために農家の負担が増すのは皮肉な話だ。さらに山田氏はこう指摘する。

「農水省は一般品種については問題ないとしているが、最近は年間800種ほど新たな品種登録がされている。すでにエゴマだけでも2種類登録されていて、伝統的な品種と言えども安心できない」

 安倍政権は国産ブランドの輸出を強化するために種苗を保護すると言うが、それならば農家のことも“保護”してもらいたい。

※週刊ポスト2020年6月5日号

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