報道番組『news every.』(日本テレビ系)のキャスター藤井貴彦さんが日々発する言葉が注目されている。「冷たい視線はいますぐ温かい支援に変えなければなりません」「たくさんのものをがまんしてあきらめる日々を過ごしていますが、他人を思いやる心まで失わないでいること。これが大切です」──。
“コロナ離婚”やDVのニュースが次々と報道されるコロナ禍のいま、私たちは思いやりの心を枯渇させているのかも…。そんな中で見つけた心温まる実話を紹介する。
『発掘された夫の本心』(58才・パート 真紀子さん)
結婚30年目になる夫が、新型コロナウイルス感染拡大の影響でリモートワークになり、毎日のように「飯を早く作れ」「足音を立てるな」「掃除が甘い」などダメ出しの嵐。ウンザリしていました。
私たち夫婦は見合い結婚で、恋愛をした思い出がありません。ですから、お互いに愛情を持っているという実感がありませんでした。しかも、若い頃は手を上げられたことも。それでも子供たちのためにがまんしてきましたが、いまは違います。2人の子供たちはすでに独立。足かせになるものはありません。
本気で家を出ようと、大きなスーツケースを引っ張り出してみると、中には夫の過去の日記帳が20冊ほど入っていました。
その中には、私たちが結婚した年の日記帳も。何が書いてあるのだろうかと思って読んでみると、
「真紀子が家にいてくれる。これだけのことなのに、なんて幸せなことか」
などと、私への愛の言葉が毎日のように綴られていたのです。夫はちゃんと私を愛してくれていたんだ──。あんなに嫌いだったはずなのに、思わずうれし涙が流れてしまいました。私も夫のことを憎からず思っていたようです。
その足で、夫の部屋に行き、日記帳をひらつかせながら、「私も愛してるわよ」と言うと、夫は顔面を蒼白にした後、真っ赤になって「よせっ」と日記帳を奪い、自室にこもってしまいました。長年一緒にいても夫婦の本心を理解し合うのって難しいですね。
※女性セブン2020年6月11日号