5月25日、NPBは6月19日にシーズンを無観客で開幕することを発表。それに先駆けて、本拠地にファンを招き入れたのが広島だった。
「東京などではまだ緊急事態宣言下でのカープの判断には驚かされましたよ」(パ球団関係者)
5月21日からの3日間、抽選で選ばれた県内のファン最大500人(1日)をマツダスタジアムで一軍練習の見学に招待。その後、2000人まで段階的に増やしている。
「観客にはマスク着用や検温、アルコール消毒、分散見学などが徹底された。手すりなど共用部分の消毒のための係員、フェースシールドを着用したビールの売り子、コンコースの売店の営業など開幕後を想定した取り組みだった」(スポーツ紙デスク)
巨人、阪神を含め12球団の多くで全体練習が再開されたが、ファンを招待できたのは広島だけ。
「“地の利”が大きかった。5月14日に県の緊急事態宣言が解除となり、休業要請が緩和されて植物公園や動物園といった施設が営業を再開。密閉空間のドームと違い、運動施設のマツダスタジアムは動物園と同じ扱いで、観客を入れることが可能になった」(同前)
東京は25日まで宣言解除が遅れ、巨人などは広島の“独走”を許したわけだ。ただ、解除の時期や屋外球場など、ほぼ同一条件の楽天は慎重な姿勢。楽天生命パーク宮城の所有者である宮城県は「球団から(練習公開の)相談があれば検討するが、今のところ相談はない」(オリンピック・パラリンピック大会推進課)とする。
それだけに、「万が一、ファンに感染者が出たら開幕日程にも影響する。カープは“独創性”を見せるより、12球団で足並みを揃えるほうがよいのでは」(前出・パ球団関係者)と心配の声もある。
当の広島は「県民に対してできることをやっています」(広報室)とのコメント。ファンサービスで“開幕前ダッシュ”を決めた格好だが、他球団はどう追走するか。
※週刊ポスト2020年6月12・19日号