新東京国際空港(成田)が開港した1978年、日本人にとって海外旅行がようやく身近なものになり始めた年に、庄野真代が歌う『飛んでイスタンブール』がヒットした。庄野が『飛んで~』がヒットした当時、ヒットをきっかけに変わったことについて語った。
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自作の曲でデビューしたもののヒットが出ず、5枚目は筒美京平先生に曲をお願いしました。候補作3つのなかにエキゾチックで濃い曲がありました。わ、くさい……と感じたくらい(笑い)。でも翌朝目が覚めたら、その「くさい」曲がぐるぐる頭の中を回っていました。それが『飛んでイスタンブール』です。
フォーク系の事務所にいたので芸能界のしきたりも知らず、歌番組に出始めた頃は違和感がありました。でも、プロフェッショナルな方たちの仕事を間近で見て自分の歌の世界が広がりました。
翌々年からバックパックの旅に出て、丸2年で28か国を回りました。昔から兼高かおるさんのように世界のことを見聞きしたかったんです。それを思い出させてくれたのが『飛んでイスタンブール』でした。
世界旅行をきっかけに環境への関心が高まり、その後は国内外の大学で学び、「国境なき楽団」というNPO法人も主宰しました。コロナのために中止になったんですが、実は今年の8月から再びバックパッカーをやる計画でした。西安を出発してシルクロードを西進する。その終着点がやっぱりイスタンブールなんです。
『飛んでイスタンブール』はずっと歌い続けています。他人から提供された曲の中ではもっとも長く、濃い付き合いです。親友のようでもあり戦友のようでもある存在ですね。
●しょうの・まよ/1954年、大阪府生まれ。音楽活動以外に、2000年以降国内外の大学に学び、音楽を通した社会貢献活動を展開。カフェ兼ライブハウス「Com.Cafe音倉」オーナー。公式HP shonomayo.com
【1978年の出来事】
高層ビル「サンシャイン60」開館/新東京国際空港開港/ディスコがブームに/サーフィン・ファッション流行/映画『スター・ウォーズ』/『未知との遭遇』ヒット/「口裂け女」「たたりじゃー」「フィーバー」が流行語に
※週刊ポスト2020年6月12・19日号